第30回上映会 |
メリエスの
素晴らしき映画魔術
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月世界旅行
[日 時]2013年3月17日(日) ①11:00 ②14:00(30分前開場)
①の回は、ヨコハマらいぶシネマさんによる視覚障がい者のための
音声ガイド付き上映で行います。
[講 演]とちぎあきら氏
東京国立近代美術館フィルムセンター 主任研究員/映画室長
「映画の復元-技術、倫理、そして創造」12:30~13:30
[会 場]神奈川公会堂 TEL045-432-3399
(JR京浜東北線東神奈川駅下車 または 京浜急行仲木戸駅下車 徒歩4分)
[後 援]横浜市教育委員会
[作品紹介]
月世界旅行
1902年/フランス/カラー/15分32秒/監督・脚本・製作:ジョルジュ・メリエス/原作:ジュール・ヴェルヌ、H・G・ウェルズ
天文学会のメンバーである6人の学者が、巨大な砲弾に乗って月に着陸する。そこで彼らは異星人に生け捕りにされ、月の王に差し出される。果たして彼らは無事に地球に戻れるのか-。
1902年-それは今とは違い“月”がまだ人間にとってはるか遠い存在だった時代。メリエスは、ジュール・ヴェルヌの著書「地球から月へ」「月世界へ行く」、HGウェルズの著書「月世界最初の人間」を基に、月世界への憧れを映画にした。『月世界旅行』は、30シーンから構成される空前絶後の大作で、世界的にも大ヒットし、フィルムの1コマ1コマを手作業で彩色したカラー版も生み出された。しかしその後、新しい時代の到来で没落した失意のメリエスによって、全てのフィルムは燃やされてしまう。そして、この歴史に残る名作のカラー版は長い間“幻”となっていたが、スペインのバルセロナで奇跡的に発見される。2001年そのプリントはフランス本国に戻されたが、劣化が激しく修復は不可能だった。時を経た2010年、遂にスペシャリストたちによって、緻密な手作業と最新のデジタル技術を用いた修復作業が開始される。こうして完成した復元版は、2011年カンヌ国際映画祭にてかってない美しさでスクリーンに甦った。
メリエスの
素晴らしき映画魔術
2011年/フランス/カラー/デジタル/63分/セルジュ・ブロムバーグとエリック・ランゲ監督
ジョルジュ・メリエスは、リュミエール兄弟が発明した映画=シネマトグラフを観た最初の観客の一人であった。マジシャンであった彼は、映画の将来性を信じて映画作りに乗り出し、世界で始めての職業映画監督となる。メリエスは、独自のイマジネーションやテクニックを駆使して、映画史上初となる表現を多く生み出した。人やモノを消したり、変化させたり、甦らせたり、爆発させたりといった彼の映画魔術に、観客は熱狂した。そして『月世界旅行』では、動く写真に過ぎなかった「映画」に、複数のシーンを積み重ねて物語性を持たせるという画期的な手法を導入した。この作品は、それまで小説やイラストでしか表現されていなかったSFの世界観を初めて映像化したことで、SF映画の起源となった。
本ドキュメンタリーは、映画創世記に、誰よりも映画を愛し、その可能性を追求した、“映画の父”ジョルジュ・メリエスの成功と挫折の人生を、彼が生きた時代背景と共に追っていく。そして、偶然見つかった幻のカラーフィルムから始まった『月世界旅行』のリストア作業全工程と、トム・ハンクス、ミシェル・ゴンドリー、ジャン=ピエール・ジュネ等へのインタビューを通して、今もなお多くの映画人を魅了しているメリエスの映画魔術に迫る。 (月世界旅行&メリエスの素晴らしき映画魔術公式ホームページ)